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TOP (Q&A)家族がインフルエンザに罹患した従業員に休業を命じました。勤務をさせてほしいと申出がありましたが、応じなければなりませんか?
(Q&A)家族がインフルエンザに罹患した従業員に休業を命じました。勤務をさせてほしいと申出がありましたが、応じなければなりませんか?

家族がインフルエンザ等の感染性の疾病に罹患し休業をするよう命じた従業員から、勤務をさせてほしいという申出があったとしても、会社が応じる必要はありません。ただし、会社都合による休業のため、休業手当の支払いが必要になります。

前提として、労働契約上、従業員は会社の求めに応じて労務の提供をする義務を負いますが、会社が求める以上に働かせてほしいという権利(就労請求権)はありません。
したがって、会社が休業を命じた場合には、その休業が違法であり無効な命令である場合を除いて、従業員は休業しなければなりません。
ただし、その休業が違法であり無効な命令でなくとも、会社都合による場合は休業手当を支給する必要があります。

従業員の家族がインフルエンザなどの感染性の疾病に罹患した場合、その従業員に何らかの症状が出ていなくても、体内にウイルスや細菌などを保菌している可能性があります。
会社は、従業員が健康で安全に働けるよう職場環境を整える義務があることから、そのような従業員が出勤することによって、他の従業員にも感染をさせてしまうという事態を避けるための手段を講じることには客観的に合理性があります。
そのため、一定期間の休業命令を発するという手段を講じることは、社会通念上の相当性はあると考えられるため、違法であり無効な命令であるということにはならない可能性が高いです。

ただし、その疾病が法律上隔離を必要としていない疾病であれば、会社が他の従業員に感染させないために休業を命じるというのはあくまで会社都合ということになり、休業手当の支払いは避けられないため、注意が必要です。

根拠法令・参考情報
民法第623条(雇用)
労働契約法第5条(労働者への安全配慮)
労働契約法第7条(労働契約の成立)