法律上、勤務態度の不良を理由に解雇することは可能ですが、試用期間であっても解雇のハードルは高く、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効になります。
試用期間とは、従業員を現に就労させ、その適性を測るための採用活動の一環という側面があります。
しかし法的には「解約権留保付労働契約」と解されており、一定の解約事由に該当する場合には、企業は解約権を行使し労働契約を解除することができるものとされています。
ただし、解約権の行使は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上の相当性がある場合のみ許されるものとされています。
そして、客観的合理性と社会通念上の相当性があると認められ得るのは、試用期間が採用活動の一環であるという目的に照らし、「採用当初知ることができず、また知ることが期待できない事実」がある場合に限定されます。
したがって、解雇が認められるためには、次の要件が満たされる必要があります。
・遅刻早退を繰り返すことが、従業員としての適性を欠くと評価できること
・従業員としての適性を欠くと評価することに客観的合理性と社会通念上の相当性があること
たとえば、遅刻・早退の理由が健康状態の悪化である場合、従業員としての適性を欠くと評価することは難しいことになります。
また、遅刻・早退に正当な理由がない場合であっても、勤務態度を改めるよう繰り返し注意や指導を行ったにもかかわらず、改善が見られないといった事情がない限り、従業員としての適性を否定することは難しいといえます。
根拠法令
労働契約法第16条(解雇)
三菱樹脂事件(昭和48年12月12日 最高裁判所大法廷判決)
お知らせ・セミナー情報
2025.01.14
(Q&A)試用期間中の従業員が遅刻・早退を繰り返しています。この場合、勤務態度の不良を理由に解雇することはできますか?